2006年春、米国ハーバード大学院の日本人留学生らが日本への研修旅行を企画し、広島を訪れました。原爆資料館を見学し、被爆者とも交流。お互いに思い出深いひと時を過ごしました。
私たちもホームページを作ったり、テレビ電話を利用して被爆体験談を海外に伝えたりとさまざまな手段で努力してきましたが、被爆者の高齢化などにより、その活動も年々難しくなっています。幸い、今回のように将来を担う若い人たちが自らの意思で日本への研修旅行を企画し、被爆の実相を学ぶため広島を訪れて下さったことをとてもありがたいと思っています。
こういった若者の平和への願いが大きな力となり、世界中に広がることを信じてやみません。
「今日を忘れない」−参加者の声
平成18年3月19日から約1週間かけて、アメリカのハーバード公衆衛生大学院に在籍する学生38人が日本の公衆衛生の現場を訪問したJapan Trip。うち9人の学生が、京都から足を伸ばして広島の平和記念公園を24日に訪れ、「ヒロシマの心を伝える会」代表の松原美代子さんから、被爆当日の壮絶な体験、被爆の後遺症や差別に苦しんだ青春時代、平和に対する切実な思いについてのお話を英語で伺いました。
事前に広島・原爆に関する文献も読んでいた参加者でしたが、被爆当日の壮絶な体験に衝撃を受けていました。国際保健を専門とする学生ローラ・コゼックさんは、松原さんに、平和への思いを涙ながらに語りました。旅行後の報告会では、被爆体験への感想が寄せられました。災害対策を専門とする学生であり、9/11の時に国防省でのテロを目撃した経験のあるオードリー・ペローさんはこうコメントしています。
「松原さんは私たちに被爆による皮膚の傷跡だけでなく、心の傷も見せてくれました。それはとても勇気のいることだと思います。私は今日のことを忘れないでしょう。」
(文責ハーバード公衆衛生大学院 大村佳代)
被爆者体験胸に刻む 米ケネディスクール学生が来広(朝日新聞)
政治家、官僚、企業家など数多くの人材を輩出していることで知られる米ハーバード大学ケネディ行政大学院(通称・ケネディスクール)。在籍する19カ国の学生58人が3月26日、日韓合同研修旅行で広島市中区の平和記念公園を訪れ、秋葉忠利市長や被爆者と面談。平和記念資料館も見学した。被爆者がおかれた残酷な状況を初めて知った学生も多く、平和のために何ができるのかを真剣に考え合っていた。
合同研修旅行は、「将来重要な交渉相手になるであろう日本と韓国の真の姿を知りたい」という学生らの声を受けて、日本と韓国の留学生が中心になって初めて企画した。
学生と面談した秋葉市長は、大やけどを負った女性の写真や、子どもを抱いて片足で立ったまま焼け死んだ母親を描いた絵などを紹介しながら、
「8月6日のそのとき、原爆を投下した飛行機の下で生きていた人々の苦しみを心で感じ取る努力をしてほしい」
と強調。
「どの国の人も、過去に人類が犯したのと同じ過ちによって苦しめられるようなことがあってはならない」
と何度も繰り返した。
「ヒロシマの心を伝える会」代表の松原美代子さん(73)=同市南区=が自らの被爆体験を英語で話し、
「被爆者に残された時間は長くはありません。同じことを二度と繰り返さぬよう、世界のリーダーとなるあなたたちに平和の思いを託します」
と締めくくると、学生らは一斉に立ち上がって大きな拍手を送った。
米空軍での勤務経験があり、祖父が第2次世界大戦時にアジアに従軍していたというアンドリュー・ニコルスさんは、
「被爆者が過去に差別を受けていたという事実をはじめて知った。政治的な観点から見ると、原爆投下の問題は決して単純ではないけれど、被爆者の思いをアメリカで家族や友人に伝えたい」
韓国籍のジョン・ジュー・リーさんは
「日本で被爆者の生の声を聴けたのはいい経験になった」
としたうえで、
「日本の人たちにも、日本軍による侵略の悲劇を伝える韓国の施設に足を運んでもらいたい。あの戦争が双方の国に悲劇をもたらしたことをじかに感じてほしい」
と話していた。
学生らは27、28日の両日、東京でカルロス・ゴーン日産自動車社長や福井日銀総裁、阿部晋三内閣官房長官らと面談。29日には韓国で金大中前大統領らと会談する。
(2006年3月27日付朝日新聞から)
原爆の悲惨さに涙も
A-bomb Tragedy Brings about Tears
2006年5月27日(土)、米国・ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の学生約190名が広島を訪問し、秋葉広島市長の講演、被爆者松原美代子さんの証言を拝聴し、広島平和記念資料館を見学致しました。
今回の訪問は、HBSの学生を対象とした、ジャパン・トリップ2006の一環として行われました。したがって、国籍、年齢、教育、宗教、HBS入学前の職業は様々。そして、原爆投下の事実を知らない者はいないものの、第二次世界大戦と日本に関する歴史、原爆とその影響等に関する知識レベルは様々であったため、参加者がどのような反応を示すか、研修旅行の幹事を務める日本人学生は、不安を抱いていました。
しかし、そのような心配は全くの杞憂に終わりました。
普段は、実によく学び、チャレンジ精神・エネルギーあふれる、にぎやかな同級生ですが、この日ばかりは口数も極めて少なく、平和記念資料館の一つ一つの展示物を丹念に見たり、説明を読んだりし、その眼差しは実に真剣でした。また、広島市長、松原さんのお話を伺う中で、改めて原爆の悲惨さを知り、涙を流しながら話にじっと耳を傾けている同級生の姿が印象的でした。
「原爆については歴史の授業で学んだが、今日話を聴いて、何も分かっていなかったことに気づいて、恥ずかしい」
「被爆者の方の話を聴いて、原爆の悲惨さにショックを受け、今は打ちのめされた気分だ。」
「自分であったなら、被爆体験は思い出すだけでもつらくて、とてもではないが人に話せないであろう。だから、松原さんが被爆体験を私たちに語ってくれて、心から感謝し、本当に尊敬する。」
などと、広島訪問終了後、多くの参加者が率直に感想を話してくれました。
中でも、
「こんなに多くの被爆者が今も苦しんでいるとは知らなかった。原爆とその影響について、より多くの人が知るべきだ」
というコメントが最もよく聞かれました。我々研修旅行の幹事も、核兵器廃絶のため、世界平和実現のために、日本人として、原爆の悲惨さについて世界の一人でも多くの人に知っていただくために、話を伝えていく義務があることを痛感いたしました。
今回の広島訪問を通じて、多くの学生が、広島についての理解を深め、核兵器廃絶運動等について考える機会を与えられたことを感謝しております。この場を借りて、広島訪問実現のため、多大なるご協力を頂きました秋葉市長、松原様、広島市役所の皆様に心から御礼申し上げます。
ハーバード・ビジネス・スクール
ジャパン・トリップ2006幹事
この3校と合わせ06年3月1日から9月31日までに外国人学生等に被爆体験談をしたのは32回の872人でした。
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