アジア社会フォーラム(インド)での被爆証言活動

帝国主義的なグローバリゼーションに反対して、

「Another World is Possible!(別の世界は可能だ!)」「Another Asia is Possible!(別のアジアは可能だ!)」


を合い言葉に、2003年1月2日から7日まで、インドのハイデラバード市においてアジア社会フォーラムが開催されました。このフォーラムは、ブラジルで過去2回にわたり開催された世界社会フォーラムの成功をふまえて、アジア地域の諸課題をとりあげ、国際政治社会を討議するアジアで初の「アジア社会フォーラム」となりました。

●1万5000人が参加

約800の団体や個人の参加者が、「アジア社会フォーラム」へのメッセージを携えて、インド全土、アジア諸国、そして世界各地から集い合いました。海外からの参加者8,000人を含め、総計約15,000人が参加しました。これは、当初予定していた7,000人をはるかに超える参加人数です。参加条件は、「帝国主義的なグローバリゼーションに反対すること」と、「宗教的・セクト主義的な暴力に反対し、民主主義、多元主義と平和に関わる意志を持つこと」だけであり、討論だけでなく、インド国民の生活を紹介した写真展や、各民族が民族衣装を付けて踊ったり、行進するなどさまざまな文化が熱っぽく紹介されていました。

●連日ワークショップ

主なテーマは、

1) 平和と安全保障
2) 債務、開発、貿易
3) 国民国家、民主主義、排除
4) エコロジー、文化、知識
5) 社会インフラ、計画、協力
6) 代案模索、市民運動

の6分野で、 250以上のカンファレンスや、セミナー、ワークショップが連日連夜開かれ、熱心な討議が行われました。
期間中の模様は公式新聞「PRAJASAKTI」 紙に詳しく掲載されました。松原は 初日の開会式「平和と安全保障」と、3つのワークショップで体験談とヒロシマの心を伝えることができました。

このほか、会場近くの聖アンズ女子大学や、寺小屋式のフセイニ・アラム中・高等学校を訪れ、佐々木禎子さんの話や折り鶴の折り方など、計9回、約2,750人の学生に紹介し、話す機会に恵まれました。

●原爆投下などで質問

主な質問は

  1. 日本は過去に真珠湾攻撃をしたことをアメリカに詫びている。しかし、アメリカは日本に対して未だに原爆投下をわびていない。これに対してどう思うか。
  2. もし、アメリカが北朝鮮を攻撃するようなことになれば、日本人としてこれをどう思うか。
  3. インドのボパールで多くの市民が化学工場の事故で亡くなったが、このことをどう思うか?(この運動を行っている女性からの質問)

 被爆者とこのフォーラムとのかかわりは、フォーラムの運営中心者、ヴィノード・ライナー氏(インド)が広島を訪れたことに端を発します。昨年の10月、(財)国際文化会館と国際交流基金アジアセンターの共催事業として毎年実施されている、アジア・リーダーシップ・プログラムにライナー氏がフェローとして招聘され、広島を訪れた際、被爆者の証言を聞いて感銘したライナー氏より、フォーラムで核兵器廃絶、平和構築へ向けてのヒロシマの心を伝えてほしいとの要請を受け、実現しました。
今回は松原のほか、畝崎雅子氏(広島の通訳)の2人が、フォーラム事務局の招聘(庭野平和財団http://www.npf.or.jp/助成)により参加しました。

◇貧富の差に衝撃

人口10億を抱えるインドの6大都市の一つ、ハイデラバード(中南部人口600万人)に初めて訪れました。核兵器を保有する民主主義国家インド。まず、衝撃を受けたことは、あまりにも貧富の差が大きかったことです。豪華なホテルの近くの路上には、夜は方々で古い毛布に身をまとい寝ころがっている人々、昼間高級車が走りまわる車道を縫うようにして窓ににじり寄り、幾らかの施しを求める老衰した男女のなんと多いことか。胸が痛んで居たたまれませんでした。
 周辺諸国が核兵器を持っている以上仕方がないというインド国民の意見。理由は何であれ、まずこの人たちの生活向上を、また、恵まれない子供たちの就学を考えるべきだと思いました。(松原美代子)

※今回のアジア社会フォーラムに参加し、南アジアの支援活動をしている日本のNGO「シャプラニール」のアドレスはhttp://www.shaplaneer.org/です。こちらも参考にしてみてください。

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