ホームページ開設に寄せて

このホームページは1999年5月に開設されました。代表・松原美代子からのメッセージです。

1999年4月26日 「ヒロシマの心を伝える会」代表・松原美代子

>>>「悲劇」いまだ教訓にできず
 広島・長崎に原爆が投下されてから、すでに53年の歳月が過ぎ去りました。
しかし、私たち人類は「ヒロシマ・ナガサキの悲劇」をいまだに教訓にはできていません。東西冷戦時代の終焉(しゅうえん)にもかかわらず、米・英・露・仏・中の核保有国は「核兵器こそ最大の力」と信じ、核兵器にしがみついています。
 その核保有国の「核独占」に対抗して、インドが核兵器を保有し、その影響でパキスタンも核保有国になったことはみなさんご承知のとおりです。インドとパキスタンはさらに核弾頭を搭載できるミサイルの開発に血眼(ちまなこ)になっています。南アジアはまさに核の脅威にさらされていると言えましょう。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核保有疑惑も大いなる懸念です。北朝鮮はまた核技術を他国に輸出しているという疑惑も持たれ、パキスタンの核開発に北朝鮮が関与していたという指摘もあります。不安定な中東地域の国々にも、核保有・核開発の疑惑がつきまとっています。
>>>新たな「核拡散の危機」
 世界は今、確実に新たな「核拡散」の危険な時代を迎えています。このような核情勢の緊迫化に、私は広島の被爆者としていても立ってもいれない気持ちになり、世界の人びとに「ヒロシマの心」を伝えなければとの思いで、このホーページを開設しました。
 たった1発の原爆で、人口35万の都市だった広島は一瞬にして焦土と化し、約14万人の尊い命が奪い去られました。真っ黒に焼け焦げ、内臓が飛び出し、廃墟の中に延々と横たわっていた遺体、遺体、遺体…。
 私はあの日の広島の地獄の光景を決して忘れることはできません。私自身も顔や手足にひどい火傷を負って死線をさまよい、生き残れたことが奇跡と思えるほどです。被爆者はその後も原爆の後遺症に「からだ」と「こころ」をむしばまれ、次々と息絶えていきました。原爆放射能は今もなお被爆者を苦しめつづけているのです。
>>>「良心の輪」共に築きたい
 原爆の惨禍を体験した私は断言します。核兵器が再び使われるようなことがあれば、人類には破滅しかありません。世界には、広島・長崎に投下された原爆の何十倍、何百倍もの威力を持つ核兵器が、全人類を何度も殺りくできるほどの量があるのですから。
 皆さん、私の広島からの訴えに耳を傾けてください。そして、力を貸してください。被爆者が「あの日」を語りつづけられるのもあとわずかです。21世紀に向け、若い世代の人たちに平和な世界を築いてもらうためにも「ヒロシマの心」を受け継いでもらいたいのです。核兵器の力を信じる為政者たちを打ち負かす国際的な「良心の輪」を共に築きましょう。